先日、ある生徒から国語の論説文の内容がわからない、という質問がきました。
その論説文の内容は「水は天からもらい水」という言葉が水資源の無駄遣いの理由になっている、という意見に対して、むしろ「水は天からもらい水」という感覚が失われたことが水資源の無駄遣いの原因である、と述べるものでした。
こうした文章を読み解くポイントは「事実」と「解釈」や「評価」は異なる、ということを理解することにあります。
というよりも、出題者は「事実」と「解釈」や「評価」の違いを子供が理解できているか、を見ています。
今日はそのことについて説明させていただきます。
同じ言葉でも「解釈」によって意味が違う!
同じ言葉を書いていても、人によってその解釈は異なります。
論説文を読み解く際には「作者の解釈」を読み解かなければいけません。
そして、作者が他の人と違う解釈を示している場合には「どう解釈が違うのか」を読み解く必要があります。
今回生徒が聴きに来た内容だと
「水は天からもらい水」
という言葉の意味が、作者と従来の主張とで解釈が異なっている、ということにまず気付く必要があります。
この点、生徒に確認をとってきました。
「『水は天からもらい水』という言葉はこれまでどういう意味と思われていたのかな?」
「『水を大切にしましょう』という意味ですよね?」
「『水を大切にしましょう』という意味だとこれまで思われていたら『無駄遣いの原因』とは思われないんじゃないの?」
「そうですね、わからないです。」
この生徒は「同じ言葉に二つの解釈がある」ということがピンと来ていませんでした。
そこで「事実」「解釈」「評価」の3つが違うということを説明させてもらいました。
「事実」「解釈」「評価」の違い
国語や社会といった文系科目では「事実」「解釈」「評価」の違いがとても重要になります。
例えば地球温暖化の例をとってみましょう。
事実:「地球は温暖化している」
これが「事実」です。
この「事実」には基本的に異論はありません。
もちろん「温暖化なんかしていない!」という人もいますが、それは基本的に理系の分野ですので、文系科目の問題でそういう話が出てくることはまずありません。
解釈:「温暖化の原因は二酸化炭素である」
ここから意見が分かれます。
例えば、家畜から排出されるメタンガスは二酸化炭素の25倍の温室効果がありますから、こちらの方が原因ではないか、という解釈をする人もいます。
もちろん、多くの人は「二酸化炭素が原因」ということを前提に議論をしますが、国語の問題ではまれに「多数意見とは違う主張」を取り上げることもありますから、気を付けないといけません。
評価:「温暖化は早急に解決しないといけない問題だ」
これについても、実は意見が分かれるところです。
「地球温暖化を解決しましょう!地球を大切に!」という人が当然多いのですが、全ての人がそういう立場ではありません。
国語でも社会でも、この「評価」のところでは異論が百出します。
そして、こういう場面ではひっかけ問題を出しやすいのです。
例えば、温暖化について取り上げた問題で
「この文章で作者が言いたいことは何か、次の選択肢から選びなさい」
という設問があったとします。
このパターンでは、少なくない確率で
「地球を大切にしましょう」
という選択肢が不正解であったりします。
よく読むと「作者はどこにもそんなこと書いてない!」というひっかけ問題があるわけです。
作者が事実をどう「解釈」しているかを見極めよう!
重要なことは、多くの場合「解釈」と「評価」とは関係している、ということです。
言い換えると「解釈」を変えると「評価」も変わります。
例えば、今回生徒が聴いてきた問題だと
「水は天からもらい水」
という諺があるのは事実です。
では、その諺をどう評価するのか?
それは、その諺の意味をどう「解釈」するのかによって大きく変わります。
その問題の課題文の作者は
「水を大切にしましょう」
という意味であると解釈していましたが、その作者が批判している従来の人は
「水はもらったものだからタダだ」
みたいな解釈をしていたのだと考えられます。
この2つの解釈により、諺への評価もかなり変わるはずです。
こういうことを生徒に説明し、
・作者が諺にどういう解釈をしており
・作者はどういう解釈の人を批判していて
・作者はどのような意見を展開しているか
を考えてもらいました。
するとその生徒は無事、当該の問題を解けるようになりました。
子供に「事実」と「解釈」の違いを理解させることは、論理的思考力を鍛える上でもとても大切なことです。
【学習塾PLANT】
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